2007.04.25 Wed
選挙好きの私にとって、
統一地方選挙の後半戦も興味津々だったのですが、幸か不幸か、自分の住んでいるところは選挙がなくて、テレビの速報番組を見ながら眠ってしまいました。
それにしても、投票を間近に控えて
長崎市の伊藤一長市長が銃撃された事件は、衝撃的でしたね。特に、期日前投票で伊藤市長に投票した票がそのまま無効票になってしまったのは、法的な不備があったといわざるを得ず、早期の修正が望まれます。
肝心な
選挙結果ですが、「亡くなった伊藤市長の遺志を継いで…」という形で市長選に出馬した伊藤一長市長の娘婿・横尾誠氏は、微差で落選してしまったようです。この結果は、正直言って意外でした。いわゆる「弔い合戦」になると、関係者の票が飛躍的に伸びて当選するものだと思っていましたが、そうはなりませんでしたね。
次の日もこの話題を口にする人が私の周りにも多かったのですが、そんな中、落選直後に故・伊藤一長前市長の長女が、支持者とメディアの前で凄い発言をしたと聞かされました。彼女は横尾候補の敗戦の弁の後、自ら発言をしたいと申し出て、
こんなことを言ってしまったそうです。
「父、伊藤一長はその程度の存在でしたか?残念です…。伊藤一長、浮かばれないと思います。父の愛する長崎で、父が…、このような仕打ちを受けるとは、思いませんでした。スミマセン、こんなことを言って申し訳ないけど…。」
この発言は、文字通り受け止めると、「こんな不幸な最期を遂げた伊藤市長直系の世襲候補に投票しないことは、伊藤市長に対する裏切りや侮辱だ」と言わんばかりなのですが、多かれ少なかれ、こういうホンネはあったと思います。このホンネ自体は、よくある普通のことだと思うのですが、問題は父親の死と娘婿の落選に対する恨みつらみの矛先が、支持者や選挙民に向けられてしまったことです。
改めて「その程度の存在か?」と問われれば、どこの市長も「その程度の存在」なのかも知れません。しかし、凶弾に倒れて人命が失われたことに関しては、決して「その程度」のことではなくて、深刻に受け止めていると思います。
また、「こんな仕打ち」と言われても、多くの有権者は自らの権利を正当に行使しただけで、故・伊藤一長氏に対して悪いことはしていません。ましてや、娘婿に寄って集って「No!」を突きつけた訳ではないことは、得票数が微差だったことを見れば、明らかだと思います。
恐らく、横尾・伊藤陣営としては、「伊藤市長銃殺によって補充立候補する資格があるのは、伊藤直系の娘婿だけ。亡くなった市長の支持は全て娘婿に与えられるべき」という、大変ムシのいい思い込みをしていたように思えます。ところが、蓋を開けてみると、長崎市役所の職員でいわば市長の下で働いていた市統計課課長の田上富久氏が名乗りを上げ、横尾・伊藤陣営支持と思い込んでいた支援者や団体のある部分が田上氏支持に動いてしまいました。横尾・伊藤陣営としては、こういった周囲の動きが寝耳に水で、この動きを指して「こんな仕打ち」と言っているような気がします。
しかし、いかに選挙で選ばれて要職にある人であっても、その人を積極的に支持している人は、市民や有権者の半数まではきませんし、長崎市に関しても例外ではないと思います。横尾・伊藤陣営は、少なくともこういった認識が甘かったとは言えると思います。多かれ少なかれ、人間というのは自分に都合のいい事情を信じて、不都合な事情を軽視する傾向があります。無論、今回のような状況で、横尾・伊藤陣営が候補者を出さない訳には行かなかったと思いますが、この結果はさぞかし無念だったでしょう。
それにしても、故・伊藤市長の長女のこの発言で、横尾誠氏は勿論、伊藤市長の直系にある自分も、将来の政治的な可能性を失ってしまいました。いくら動揺していたとはいえ、多くの有権者や支持者には全くのお門違いで、受け容れ難い発言である上に、「故人が浮かばれない」などという怨念が篭ったひと言を聞かされると、いかにも後味が悪いです。長女にとって故・伊藤一長氏は肉親であり父親ですが、その父親は公人であって、選挙の席は公の席です。その公の席で、公人である父親に対して、100%プライベートな思い入れを押し付けられても、困ってしまいます。
得票数はあくまで微差の次点だったのですから、この発言さえなければ、支持者・関係者はもとより、一般的な有権者にも、いわゆる「時点バネ」が働いて、次の選挙戦は大いに期待できたのですが、そうした雰囲気に水を差すような非常につまらないひと言でした。当選した田上陣営は、亡くなった前市長に配慮して当選の万歳をしなかったそうですが、この長女の発言には、バンザイをしたいでしょうねぇ。このひと言で、次の選挙がどれだけ楽になったかは計り知れません。現実にはバンザイをするより、ちょっとニンマリする程度だと思いますが、田上陣営に限らず、他の陣営にとっても、次の選挙は戦いやすくなりました。
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